何気なく本屋で立ち読みしたとき、まるで襟首掴まれて全身をぐわんぐわん揺らされながら鈍器で後頭部をぶん殴られたような感覚に襲われた。あまりの才能に、震えが止まらなかった。
詩というものにここまでの力があるとは信じてなかった。
言葉で、日本語で、ここまで魂を揺さぶれるものなのか。
初めて早坂類の歌集「風の吹く日にベランダにいる」を読んだときと同じか、それ以上の衝撃。
著者は俺と同い年。トゥレット症候群という病気を患い、そのことで周囲からひどい接し方をされ、鬱病まで発症。心と体の病と今もなお闘いながら、こんなにすばらしい芸術作品を生み出している。しかも最初は自費出版で100部だけ刷ったらしい。
それが人の目に留まり、第12回中原中也賞受賞、正式に出版、と。そのバイタリティも凄え!
個人的には、著者のそうした背景を知る前に作品を読めてホッとした。
だって、憐みや同情による色眼鏡なく、純粋に作品自体に対して衝撃を受けたと断言できるから。
一篇だけ引用してみます。
=引用ここから末尾まで=
南の都市は100万とちょっと
例えば
車窓から
腕を
電柱にもってかれるような
レッスンを楽しめるようになった
僕らの
考えられない程
無邪気な時間
ほおら、
スーパーの前
鈍い刃物で
老人を刺し殺したよ
ほおら、
やせた
彼女の乳首を
爪切りで切り取ったよ
ほおら、下校途中
子供の頭を
コンクリートに擦り付けたよ
ほおら・・・
駅前の花壇に腰かけて
あからさまな障害者が
派手な若い女と
よそよそしく話をしている・・・
僕は勃起させられている
強い嫉妬に駆られている
街を歩いている
胸をはって
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